韓国のライブコマースは、単なる「配信しながら物を売る」施策ではなく、Naverやカカオトーク、Coupangといった巨大プラットフォームの購買導線に直接乗る手段になっています。SNSでの発信だけでは届きにくかった層に、リアルタイムの実演と限定クーポンで一気にアプローチできる一方、始めるには韓国国内の法人登記や許認可、専属ホストの手配など、日本のライブ配信販売とは異なる準備が必要です。本記事では、主要プラットフォームの違いと、海外企業が参入する際に押さえておくべきポイントを整理します。
韓国でライブコマースが急速に広がっている理由
韓国では、検索もSNSも購買もひとつのアプリ内で完結させる「アプリ内完結型」の消費行動が強く定着しています。Naverやカカオトークはもともと検索・メッセージアプリでありながら、ショッピング機能を深く統合しており、ユーザーがコンテンツを見ている流れの中でそのまま購入まで進める設計になっています。ライブコマースはこの流れと相性がよく、視聴しながらチャットで質問し、その場でクーポンを受け取り、離脱せずに購入するという体験を一つの画面で完結させられる点が急速な普及の背景にあります。
主要なライブコマースプラットフォーム
韓国のライブコマースは、総合系プラットフォームと、カテゴリーに特化した専門プラットフォームに大きく分かれます。どこから始めるべきかは、自社の商材とターゲット層によって変わります。
| プラットフォーム | 特徴 | 向いている商材 |
|---|---|---|
| Naverショッピングライブ | Naverスマートストア・Naverペイと直結し、視聴から購入までの導線が短い | 幅広いカテゴリー全般 |
| カカオショッピングライブ | カカオトークのトーク・プレゼント文化と結びつきやすい | ギフト需要のある商材 |
| Coupangライブ | ロケット配送(即日・翌日配送)と組み合わせられる | スピード購入を訴求したい商材 |
| ムシンサライブ/オリーブヤングライブ等 | ファッション・コスメなど特定カテゴリーに強い専門プラットフォーム | そのカテゴリーで信頼性を積みたいブランド |
配信はどのように進むのか
韓国のライブコマースは、配信前・配信中・配信後の3段階で設計するのが一般的です。配信前は、台本の韓国語ローカライズと在庫・価格情報の連携、カカオトークなどを使った事前告知を行います。配信中は、チャットでの質問へのリアルタイム対応、実演、期間限定クーポンや値引きのタイミングを組み合わせて視聴者の購買意欲を維持します。配信後は、ハイライト部分を切り出してNaverクリップやInstagramリール、TikTokなど他のチャネルに再展開し、配信の効果を単発で終わらせない工夫が一般的になっています。
海外企業がライブコマースを始めるために必要な準備
日本企業が韓国のライブコマースに参入する場合、SNS運用とは異なり、いくつかの実務的な準備が必要になります。
- 韓国国内での事業体制:多くのプラットフォームで、通信販売業申告(日本の特定商取引法の届出に相当する韓国の制度)や国内事業者としての登録が求められます
- 配信環境の確保:安定した通信環境と複数カメラでの撮影に対応できるスタジオが必要になるケースが多く、自社で用意するか現地の配信スタジオを活用します
- ホストの選定:韓国には「ショーホスト」と呼ばれる、ライブ販売に特化した専門職があり、インフルエンサーを起用するか、販売に強いプロのホストを起用するかで訴求の方向性が変わります
- 在庫・価格情報の連携:出店するプラットフォームのスマートストアやショップ機能と、在庫・価格情報をリアルタイムで同期させる体制が必要です
よくある失敗
- 日本のライブ配信の台本をそのまま韓国語に翻訳する:韓国の視聴者はチャットでの質問や実演をより重視する傾向があり、直訳した台本では間延びしてしまうことがあります
- 配信本番だけに力を入れる:カカオトークなどでの事前告知や、配信後のクリップ再展開まで含めて設計しないと、単発のイベントで終わってしまいます
- プラットフォームを一つに絞りすぎる:商材やターゲット層によって強いプラットフォームが異なるため、最初から一つに絞ると機会損失につながることがあります
- 景品表示や誇大な効果表示への配慮を怠る:韓国でも過度な割引訴求や根拠のない効果効能の表示は規制の対象になり得るため、事前の確認が必要です
よくある質問
韓国に法人がなくてもライブコマースはできますか?
プラットフォームによって条件は異なりますが、多くの場合、韓国国内での通信販売業申告や事業者登録が必要になります。現地のパートナーと組むことで、自社に韓国法人がなくても進められるケースがあります。
Naverショッピングライブとカカオショッピングライブ、どちらから始めるべきですか?
幅広いカテゴリーで導線の短さを重視するならNaverショッピングライブ、ギフト需要や口コミでの広がりを重視するならカカオショッピングライブが向いている傾向にあります。商材とターゲット層に応じて判断するのが実務的です。
配信のホストは日本語話者でも対応できますか?
視聴者は基本的に韓国語ネイティブであるため、配信自体は韓国語ネイティブのホストが担当するのが一般的です。企画・商品説明の準備段階までを日本語で進め、実際の配信は現地パートナーに任せる体制が現実的です。
ライブコマースとSNSでのインフルエンサー施策は何が違いますか?
インフルエンサー施策は認知や興味喚起を目的とすることが多いのに対し、ライブコマースは配信内で購入までを完結させる、より購買に直結した施策です。両者を組み合わせることで、認知から購入までの導線を強化できます。
初めての配信でも成果は出ますか?
初回から大きな成果を期待するより、配信の型を確立し、事前告知や配信後の再展開まで含めて継続することで効果が積み上がっていく施策です。単発ではなく中長期の取り組みとして計画することをおすすめします。
関連サービスと参考記事
ライブコマースの企画からインフルエンサー起用、配信後のSNS展開までを含めた支援は韓国インフルエンサーマーケティングサービスのページでご確認いただけます。