公開日:2026年11月3日
韓国向けの原稿を出す前に、韓国語のネイティブチェックを入れるかどうかは、多くの日本企業が迷う点です。確認する範囲を先に決めておくと、依頼先に伝えやすくなります。この記事では、確認する観点、依頼の進め方、国立国語院(국립국어원)が公開している表記ルールの使い方を整理します。
※国立国語院の内容は、同院の公式サイトで2026年11月3日に確認したものです。外来語表記法は、2017年3月28日施行の版を読みました。第3章の表記細則と第4章の人名・地名の表記の原則は、今回は全文を確認できていません。また、公式サイトに載っていた件数や相談の受付時間は、変わることがあります。ネイティブチェックの料金や依頼先ごとの価格は、確認できた公開情報がなく、本記事では扱っていません。
ネイティブチェックで確認する観点
ネイティブチェックは、誤字を直すだけの作業ではありません。どこまで見てもらうのかによって、依頼の内容も変わります。確認する観点を整理すると、次のとおりです。
| 確認する観点 | 見る内容 | 公的な資料での確認 |
|---|---|---|
| 綴りと分かち書き | 誤字、脱字、スペースの入れ方 | ハングル正書法(한글 맞춤법) |
| 標準語と発音 | 方言や口語の混ざり、不自然な語形 | 標準語規定(표준어 규정) |
| 外来語と固有名詞 | 日本の社名、商品名、人名、地名のハングル表記 | 外来語表記法(외래어 표기법) |
| ローマ字表記 | ハングルをローマ字にするときの書き方 | 国語のローマ字表記法(국어의 로마자 표기법) |
| 敬語と文体 | 媒体に合った丁寧さ、自然な言い回し | 公的な規則は確認できず、母語話者の判断が中心 |
敬語や文体のように、公的な規則では決まりにくい部分は、母語話者の判断が中心になります。この部分を誰に見てもらうかが、依頼先を選ぶときの大きな分かれ目です。
国立国語院が公開している表記ルール
国立国語院は、韓国の文化体育観光部の下にある機関です。同院の公式サイトには、語文規範(어문 규범)として、次の4つが載っています。
| 規範 | 章の構成(公式サイトの表示) |
|---|---|
| ハングル正書法(한글 맞춤법) | 総則、字母、音に関すること、形態に関すること、分かち書き、その他、付録(文章記号) |
| 標準語規定(표준어 규정) | 標準語の査定原則、標準発音法 |
| 外来語表記法(외래어 표기법) | 表記の基本原則、表記一覧表、表記細則、人名と地名の表記の原則 |
| 国語のローマ字表記法(국어의 로마자 표기법) | 表記の基本原則、表記一覧、表記上の注意点 |
公式サイトには、規範の改訂の履歴や、用例を探せる検索ページもあります。用例の検索ページでは、今回見た時点で67,303件の用例が載っていました。ただし、今回見た範囲に日本語の人名や地名の用例は見つからず、日本の社名や商品名の表記は、別途確認する必要があります。
日本語の音をハングルにするときの基準
外来語表記法には、日本語のかなとハングルの対照表があります。語頭と、語中・語末で、同じかなでも書き方が変わる場合があります。対照表の一部を抜き出すと、次のとおりです。
| 日本語の音 | 語頭 | 語中・語末 |
|---|---|---|
| タ チ ツ テ ト | 다 지 쓰 데 도 | 타 치 쓰 테 토 |
| キャ キュ キョ | 갸 규 교 | 캬 큐 쿄 |
| ン | 表記なし | ㄴ |
この表は、公式の対照表の一部だけを抜き出したものです。日本の社名や商品名には、公式に決めた表記がある場合もあります。依頼先とは、どの表記で統一するかを、先に決めておくと手戻りを減らせます。
依頼の進め方
実際に依頼するときは、次の順で進めると、行き違いが少なくなります。
- 用途と媒体を伝える:ブログ、広告、商品ページ、プレスリリースなどで、求められる文体が変わります。
- 日本語の原文も渡す:韓国語だけを渡すと、意味のずれに気づけません。原文との照合も依頼すると、誤訳も見つけやすくなります。
- 確認の範囲を決める:誤字の修正だけか、言い回しの自然さまで見るのか、書き直しまで含むのかを決めます。
- 用語集を用意する:社名、商品名、決まった言い回しを、事前に一覧にしておきます。
- 公開の前に確認する:公開後の修正は、検索結果やSNSで古い表記が残ることがあります。
依頼先の種類と考え方
依頼先には、社内の韓国人スタッフ、翻訳会社、韓国向けのマーケティング会社、個人の翻訳者などがあります。料金は確認できていないため、ここでは確認の観点だけを整理します。
- 原稿の用途と同じ分野の経験があるか
- 日本語の原文と見比べて確認できるか
- 修正した箇所を、あとから確認できる形で返してもらえるか
- 公開後の追加の修正に、対応してもらえるか
用途に合った言い回しは、検索される言葉にも関わります。韓国語のキーワード調査や、韓国のブログ投稿の設計と、あわせて考えると進めやすくなります。
国語相談を使う場合
国立国語院の公式サイトのトップページには、国語の相談窓口として、オンライン相談(온라인가나다)、電話相談、カカオトークの相談(우리말365)が載っています。電話相談の番号は1599-9979です。受付時間の記載は、トップページと別のページで違っていました。利用する前に、公式サイトで確認してください。
今回は、オンライン相談の入力画面を読み込めず、申し込みの手順は確認できませんでした。また、公式のページには、これらの相談が無料かどうかの記載もありませんでした。第三者のブログは、オンライン相談を語法や表記の規範についての質問を受け付ける掲示板形式のものと説明しています。
数字の読み方
67,303件という用例の数は、今回見た時点の表示です。用例は増えることがあるため、数字そのものよりも、用例を検索できる仕組みがあることが目安になります。
外来語表記法は、今回読んだ版が2017年3月28日施行のものです。のちに改正された場合は、内容が変わることがあります。実際に使う前に、公式サイトで最新の版を確認してください。
なお、国立国語院の公式サイトには、自動で誤りを直す検査機能は見当たりませんでした。第三者のブログは、よく使われる検査ツールは、大学や民間の事業者が運営するもので、同院のものではないと説明しています。これらのツールは、誤りを見つける補助にはなりますが、敬語や文体の判断までは、ツールだけでは難しい場合があります。
日本企業が確認したいこと
- どの媒体で、何のために使う原稿か
- 社名や商品名のハングル表記を、どれに統一するか
- 日本語の原文と、韓国語の訳文の両方を、見てもらうか
- 修正の履歴を、あとから確認できるか
プレスリリースのような公開する文書は、韓国ニュースPR配信の流れも参考になります。Naverでの見え方はNaver SEOの基本で整理しています。
よくある質問
ネイティブチェックでは、何を見てもらえますか?
誤字や分かち書きに加えて、標準語、外来語の表記、敬語、文体などがあります。どこまで見てもらうかを、依頼の前に決めておくと、行き違いが減ります。
韓国語の公的な表記ルールは、どこで確認できますか?
国立国語院の公式サイトに、ハングル正書法、標準語規定、外来語表記法、国語のローマ字表記法が載っています。用例を探せる検索ページもあります。
日本語の社名は、どうハングルで書きますか?
外来語表記法に、日本語のかなとハングルの対照表があります。ただし、社名や商品名には、公式に決めた表記がある場合もあるため、依頼先と統一の方針を決めておくと安全です。
国立国語院の相談は、無料で使えますか?
今回読んだ公式のページには、無料かどうかの記載がありませんでした。電話相談の番号やオンライン相談の窓口は公式サイトにありますが、利用の条件は公式サイトで確認してください。
検査ツールだけで、ネイティブチェックの代わりになりますか?
誤りを見つける補助にはなりますが、敬語や文体の判断までは、ツールだけでは難しい場合があります。公開する原稿は、母語話者の確認を入れるほうが安心です。
まとめ
ネイティブチェックは、確認する範囲を先に決めると、依頼しやすくなります。表記の基準は国立国語院の公式サイトで確認でき、敬語や文体は母語話者の判断が中心です。社名や商品名の表記は、依頼先と統一の方針を決めておくことが大切です。
Kマーケティングワークスでは、韓国向けの原稿づくりや運用の進め方について、ご相談を承っています。状況に合わせた進め方をご案内しますので、お気軽にお問い合わせください。
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