公開日:2026年10月14日
Coupangの「ロケット」は、商品を速く届けるための物流の仕組みの総称で、「誰が在庫を持ち、誰が物流を担うか」によって、ロケット配送、ロケットグロース、ロケット直購の3つに分かれます。日本企業が最初に確認したいのは、どの仕組みが良いかよりも、自社が使える経路があるかどうかです。
韓国のEC市場に参入したい日本企業にとって、Coupangは検討に上がりやすいモールです。ただ、「ロケット」という言葉は複数の意味で使われるため、区別しないまま比べると判断を誤りやすくなります。この記事では、3つの仕組みの違いと、2026年8月に報じられた日本の事業者向けの動き、出品前に確認したい項目を整理します。
※Coupangの出品者向け案内ページ、報道、韓国の事業者向け解説をもとに、2026年10月時点で確認できた範囲で整理しています。日本企業向けの申込条件や手数料の詳細など、公開情報では確認できなかった部分もあります。実際に進める際は、Coupangの公式窓口で最新の案内をご確認ください。
Coupangの「ロケット」とは何か
Coupangの商品ページで見かける「ロケット」は、Coupangの物流網を使って届ける商品に付く呼び方です。ただし、仕組みごとに、在庫を持つ主体や販売の形が異なります。
| 仕組み | 在庫と販売の主体 | 物流で担う内容 | 確認できた特徴 |
|---|---|---|---|
| ロケット配送(로켓배송) | Coupangが商品を直接仕入れて販売 | 仕入れから配送までCoupangが担当 | 韓国の解説では、入店基準が厳しく、発注書にもとづく取引と説明されています。 |
| ロケットグロース(로켓그로스) | 出品者が在庫を持ち、価格と入庫数量を決めて販売 | 保管、梱包、配送、問い合わせ対応、返品対応 | 出品者の販売として、Coupangの物流を使う仕組みです。 |
| ロケット直購(로켓직구) | 海外のブランドや商品を韓国向けに取り扱い | 報道では詳細な運用の説明なし | 米国、日本、香港などのブランドが追加されていると報じられています。 |
| 出品者配送(Coupang Wing) | 出品者が在庫を持ち、自社で配送 | 出品者が配送と問い合わせ対応を担当 | 最初に試す方法として、韓国の解説で紹介されています。 |
韓国の解説では、多くの出品者が、出品者配送で試し、ロケットグロースで広げ、ロケット配送で大きく展開するという順で進むと紹介されています。ただし、日本企業がこの順で進められるかどうかは、後述する条件の確認が先になります。
2026年8月に報じられた「CGF日本」とは
2026年8月26日付のNewsis配信の記事によると、Coupangは「Coupang Global Fulfillment(CGF)日本」の正式開始を発表し、日本の現地の販売者の募集を始めたと報じられています。
報じられた仕組みは、次のとおりです。日本の事業者が、日本にあるCoupangの物流センターへ商品を事前に送ります。そのあとの、梱包、国際配送、通関、韓国国内の配送までをCoupangが支援します。これにより、韓国に自社の物流拠点を持たなくても、韓国の消費者に販売できるとされています。募集の対象として、ビューティー、生活用品、日本のお菓子など、日本国内で販売されている商品が挙げられています。
同じ記事では、従来の日本の販売者は注文ごとに海外から発送するケースが多かったとされ、現地に在庫を置くことで、注文に早く対応しやすくなると説明されています。また、2026年に入ってから、米国、日本、香港などでロケット直購に新しく入店したブランドは約600に達すると報じられています。SBS Bizの2026年8月10日付の記事では、日本の商品として、龍角散のキャンディ、桃屋のラー油、白い恋人などが紹介されています。
一方で、いずれの記事にも、手数料、審査の基準、申込条件は書かれていませんでした。CGF日本の利用を考える場合は、Coupangへの確認が必要です。
日本企業が考えられる3つの進め方
1. ロケット直購の取り扱い対象になる
海外ブランドの商品をCoupangが韓国向けに扱う枠です。公開情報では、申込方法や条件を確認できなかったため、Coupangへ直接問い合わせることが前提になります。
2. CGF日本を使う
日本の物流センターに商品を入庫し、そこから先をCoupangが支援する形です。韓国に物流拠点を持たない日本企業にとって、検討しやすい経路として報じられています。対象商品や費用は、公開情報では確認できていません。
3. 韓国でロケットグロースを使う
ロケットグロースの案内ページには、事業者登録証の発行と、通信販売業の申告方法の案内があります。日本法人のままで使えるかどうかは、公開情報だけでは確認できませんでした。韓国に法人や支店を置く場合は、韓国の現地法人と支店の違いの記事もあわせてご確認ください。
ロケットグロースを使う前に確認したい費用と条件
Coupangのロケットグロース案内ページに掲載されている内容から、確認しておきたい点を整理します。金額や条件は変更される場合があるため、必ず最新の公式ページでご確認ください。
- 費用の種類:販売手数料は、出品者配送と同じと案内されています。そのほかに、入出庫費、配送費、保管料、返品の回収や再入庫にかかる費用があります。入出庫費と配送費は、サイズ別に「〜から」の形で最低額が示されており、最終的な額はカテゴリー、サイズ、販売価格で変わります。
- 無料期間の販促:保管料や返品関連の費用には、無料期間や無料枠の販促が案内されています。条件は変わることがあるため、期間を前提にした収支計算は避けてください。
- 扱えない商品:生鮮食品、冷蔵・冷凍食品、植物は対象外とされています。大きさは縦、横、高さの合計が250cm以下、重量は30kg以内という条件も示されています。
- 出品の制限:偽物の販売などで、Coupangで販売停止になった履歴がある出品者は、入店が制限される場合があると案内されています。
- 精算:月ごとの精算と週ごとの精算があり、販売価格から販売手数料、広告費などの追加費用、ロケットグロースの利用費を差し引いて支払われると案内されています。
- 二重登録の扱い:同じ商品をマーケットプレイスとロケットグロースの両方に登録した場合は、顧客体験が良い方だけが表示されると案内されています。
日本企業がつまずきやすい3つの点
商標とブランド名
韓国は先願主義のため、ブランド名の登録は販売前に確認したい項目です。詳しくは韓国の商標登録は進出前にの記事で整理しています。
韓国語の商品ページと問い合わせ対応
商品名、説明文、画像、返品の方針は、韓国の消費者に合わせて整える必要があります。翻訳だけでなく、韓国での表現に合わせたローカライズが成果に影響します。
商品ごとの輸入・表示のルール
食品、化粧品、健康食品などは、韓国の輸入や表示に関するルールが商品ごとに異なります。輸出の手順は日本から韓国へ輸出する方法の記事で整理しています。
進め方の目安
- 売りたい商品を絞り、販売の目的を決めます。
- 商標、輸入・表示のルール、扱えない商品に当たらないかを確認します。
- Coupangへ、日本の事業者が使える経路(ロケット直購、CGF日本、ロケットグロース)を問い合わせます。
- 韓国語の商品ページ、画像、返品の方針を整えます。
- 少数の商品で試し、手数料と物流費を差し引いたあとの利益を確認します。
モール選びで迷う場合は、Qoo10とCoupangの比較やNaverスマートストアの出店ガイドもあわせてご覧ください。
よくある質問
Coupangのロケット配送とロケットグロースの違いは何ですか?
ロケット配送は、Coupangが商品を直接仕入れて販売する方式と説明されています。ロケットグロースは、出品者が自分の商品をCoupangの物流センターに入庫し、価格や入庫数量を自分で決めて販売する方式です。保管、梱包、配送、問い合わせ対応、返品対応をCoupangが担当します。
日本企業は、ロケットグロースをそのまま使えますか?
公開情報だけでは確認できませんでした。Coupangのロケットグロース案内ページには、事業者登録証と通信販売業の申告方法の案内があります。日本法人のままで使えるかどうかは、Coupangの公式窓口で確認してください。
ロケット直購とは何ですか?
報道では、米国、日本、香港などの海外ブランドの商品を韓国向けに扱う取り組みとして紹介されています。2026年8月10日付のSBS Bizの記事では、2026年に入ってからの新規入店ブランドが約600とされています。申込方法や条件は、公開情報では確認できませんでした。
食品や化粧品も扱えますか?
ロケットグロースの案内ページでは、生鮮食品、冷蔵・冷凍食品、植物は対象外とされています。2026年8月のNewsis配信の記事では、CGF日本の募集対象として、ビューティー、生活用品、日本のお菓子などが挙げられたと報じられています。個別の条件は、商品ごとにCoupangへ確認してください。
Coupangで販売すると、費用はいくらかかりますか?
金額は、商品のカテゴリー、サイズ、販売価格によって変わります。ロケットグロースの場合、販売手数料のほかに、入出庫費、配送費、保管料、返品関連の費用がかかる構成です。最新の料金表は、Coupangの公式ページで確認してください。
Qoo10とCoupangは、どちらから始めるのがよいですか?
商品や目的によって変わります。違いは、別の記事で整理しています。両方を併用する企業も多いため、まずは自社の商品に合う方を、少数の商品で試すのがおすすめです。
まとめ
Coupangの「ロケット」は、ロケット配送、ロケットグロース、ロケット直購の3つに分けて考えると整理しやすくなります。日本企業にとっては、仕組みの違いを知ることに加えて、自社が使える経路があるか、費用と条件がどうなっているかを、契約前にCoupangへ確認することが欠かせません。
Kマーケティングワークスでは、韓国のECサイト構築やローカライズ、Naver SEO、SNS運用など、韓国市場での販売を支援しています。モールの選び方や準備の進め方に迷う場合は、お気軽にご相談ください。
参考にした公開情報
- Coupang「로켓그로스」出品者向け案内ページ
- ファイナンシャルニュース(Newsis配信)「쿠팡, 일본 셀러 유치 나선다…현지 풀필먼트로 ‘로켓직구’ 강화」(2026年8月26日)
- SBS Biz「해외 인기 제품 여기에…쿠팡, 로켓직구 브랜드 600개 입점」(2026年8月10日)
- 올라 블로그「2026 쿠팡 로켓그로스 셀러 완벽 가이드」(2026年1月29日)
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