韓国の総代理店契約のイメージ

韓国の総代理店契約で確認したいこと|代理店取引公正化法と契約書の注意点

公開日:2026年11月3日

韓国で総代理店や販売店と契約するとき、日本企業が先に確認したいのが、韓国の「代理店取引の公正化に関する法律」(상품 대리점거래의 공정화에 관한 법률)です。この法律は、契約書の交付や、供給業者に禁止される行為、罰則を定めています。この記事では、条文で確認できた内容と、確認できなかったことを分けて整理します。

※条文は、法律情報サイト(nepla)に載っていた、現行(2026年10月2日施行、法律第21857号)の内容を確認したものです。官報ではありません。この版での2026年8月4日の改正は、第33条のみです。専門家の解説は、2026年9月4日付の韓国の法律事務所の記事を参考にしました。商法の代理商の規定や、大統領令は確認できていません。この記事は法的な助言ではなく、実際の契約は韓国の弁護士などの専門家に確認してください。

韓国の代理店取引を定める法律

この法律の目的は、代理店取引の公正な秩序をつくり、供給業者と代理店の均衡のとれた発展を図ることとされています(第1条)。用語の定義は次のとおりです(第2条)。

用語 条文の定義(要約)
代理店取引 継続的な契約に基づいて、商品やサービスの再販売や委託販売の取引を繰り返すこと
供給業者 自ら生産した、または仕入れた商品やサービスを、代理店に供給する事業者
代理店 供給業者から商品やサービスの供給を受け、不特定の小売業者や消費者に再販売または委託販売する事業者
返品 代理店が、供給された商品を実質的に供給業者へ戻すこと。ほかの商品との交換も含む
販売奨励金 販売を促進するために、供給業者が代理店に支払う経済的な利益。名称は問わない

供給業者の定義に、国籍の制限は書かれていません。ただし、条文には、外国の供給業者についての特別な規定もありません。日本の供給業者に適用されるかどうかは、次の適用除外の条件を含め、専門家に確認する必要があります。

この法律が適用されない場合

第3条は、この法律を適用しない場合を定めています。条文を読んで、記載を整理したものです。細部の条件は、原文で確認してください。

条文 適用しないとされる場合(記載の整理)
第3条第1項第1号 供給業者が中小企業基本法の中小企業にあたる場合
第3条第1項第2号 代理店が中小企業にあたらない場合
第3条第1項第3号 供給業者が代理店に対して、優越的な地位にあると認められない場合
第3条第2項 フランチャイズ事業、金融投資業、大規模流通業の取引など。このほか大統領令で定めるもの

優越的な地位の判断では、市場の構造、事業の能力の差、代理店が供給業者に頼っている度合い、商品やサービスの性質が考慮されると記載されています。この条件が日本企業にどう当てはまるかは、今回読んだ資料では確認できていません。

契約書に入れる項目

第5条では、供給業者は契約を結ぶとすぐに、契約書を代理店へ交付するとされています。電子文書も含みます。契約書には、次の内容が必要です。

項目 契約書に入れる内容(第5条第1項)
1 取引の種類、商品、期間
2 引渡しの方法、場所、時期
3 代金の支払い方法と時期
4 返品の条件
5 事業の譲渡
6 契約の解除の事由と手続き
7 販売奨励金の支払い
8 その他、大統領令で定める事項

契約書は、当事者が署名または押印し、供給業者は代理店との関係が終わってから3年間保存するとされています(第5条第2項、第3項)。項目の一覧には、販売する地域や、最低の購入量は載っていません。それらを契約に入れるかどうかは、条文だけでは判断できません。

供給業者に禁止される行為

第6条から第12条は、供給業者が、取引上の地位を乱用して行う次の行為を禁じています。

条文 禁止される行為
第6条 購入の強制
第7条 経済上の利益の提供の強要
第8条 販売目標の強制
第9条 不利益の提供(取引条件の設定や変更、履行での不利益)
第10条 代理店の経営活動への干渉
第11条 注文内容の確認の要請を、正当な理由なく拒む、または避けること
第12条 報復行為(調停の申請や公正取引委員会への報告、調査への協力を理由にした、取引の停止や数量の削減など)

報復行為の禁止は、代理店が紛争を理由に不利益を受けないようにする規定です。契約の終了や、取引の削減の場面で、理由が問われる可能性があります。韓国の法律事務所の解説でも、紛争や苦情のあとに取引を減らすことや、契約を終えることを、注意点として挙げています。

罰則と責任

条文 内容
第30条 第6条から第12条の違反、または是正命令の不履行は、2年以下の懲役、または1億5,000万ウォン以下の罰金(併科もあり)
第25条 課徴金。大統領令で定める額まで。違反の額を算定しにくい場合は5億ウォンまで
第32条 過料(韓国語で과태료)。第5条第1項・第2項(契約書の交付や記載)の違反は5,000万ウォン、第5条第3項(保存)の違反は1,000万ウォン。調査を拒む場合は2億ウォン
第34条 損害賠償。第6条、第7条、第12条の違反は、損害の3倍まで。供給業者が故意や過失がなかったと証明した場合を除く

法人は、従業員の違反についても、注意と監督を尽くした場合を除き、あわせて責任を負うとされています(第31条)。契約を結ぶ担当者だけでなく、現地の営業担当者への指示のしかたも、確認の対象になります。

紛争の調停

この法律は、韓国公正取引調停院に、代理店の紛争を調停する協議会を置くと定めています(第13条から第22条)。調停の期限は60日で、両者が合意すれば、90日とされています(第20条第5項)。調停の記録は、裁判上の和解と同じ効力をもつとされています(第21条第5項)。

条文で確認できなかったこと

  • 契約解除の予告期間:今回読んだ条文には、契約解除の予告期間や、更新の拒絶の規定はありませんでした。解除の事由と手続きを契約書に書く必要がある(第5条第1項第6号)という点だけです。
  • 独占権、地域、最低の購入量:条文の契約書の項目には載っていません。契約でどう定めるかは、別途、専門家と設計します。
  • 準拠法と紛争の解決の場:今回読んだ資料には、記載がありませんでした。
  • 商法の代理商の規定:今回は確認できていません。解除の際の補償など、別の法律の規定が関係する可能性があります。
  • 大統領令:契約書の項目や適用除外の細則は、大統領令にも定めがありますが、確認できていません。

数字の読み方

表の金額は、条文に記載された上限です。実際に課される額は、事案によって変わります。また、課徴金の率や、大統領令で定める額は、確認できていません。

一部の法律事務所の解説記事には、今回読んだ条文と合わない数字や条文の引用がありました。たとえば、課徴金を売上の2%とする記述や、解除の2か月前の予告とする記述です。これらは、本記事では使っていません。契約の実務では、解説記事ではなく、条文の原文と専門家の見解を確認してください。

この記事の条文は、法律情報サイトの転載です。法改正があるため、契約の前に、最新の原文を確認してください。

日本企業が確認したいこと

  • この法律が、自社と代理店の取引に適用されるか(第3条の条件)
  • 契約書が、第5条の項目を満たし、署名または押印されているか
  • 現地の担当者が、購入や販売目標を強いる指示をしていないか
  • 独占、地域、最低の購入量、解除の条件、準拠法を、契約でどう定めるか
  • 商標やブランド名を、代理店に使わせる前に、韓国で登録しているか

代理店を使うか、現地に拠点をつくるかは韓国の現地法人と支店の違い、商標は韓国の商標登録、輸出の流れは韓国への輸出の進め方、全体像は韓国市場進出の手順で整理しています。

よくある質問

韓国の代理店との契約は、書面で結ぶ必要がありますか?
代理店取引の公正化に関する法律の条文では、供給業者は契約を結ぶとすぐに、契約書を代理店へ交付するとされています。ただし、日本の供給業者にこの法律が適用されるかは、第3条の条件を専門家に確認してください。

契約書には、何を入れますか?
条文には、取引の種類と期間、引渡し、代金の支払い、返品の条件、事業の譲渡、契約解除の事由と手続き、販売奨励金の支払いが挙げられています。独占権や地域、最低の購入量は、この項目には載っていません。

契約解除の通知期間は、何か月前ですか?
今回読んだ条文には、通知期間の定めはありませんでした。解除の事由と手続きを契約書に書く必要があるとされています。大統領令や商法の規定は確認できていないため、専門家に確認してください。

この法律に違反すると、どうなりますか?
条文には、懲役や罰金、課徴金、過料、損害賠償の規定があります。上限を表にまとめましたが、実際の課され方は事案によって変わります。

代理店とのもめ事は、どこで解決しますか?
この法律に基づく調停の仕組みがあり、韓国公正取引調停院に協議会が置かれています。契約でどの法を適用し、どこで紛争を解決するかは、今回確認できていません。契約の前に、専門家と決めておいてください。

まとめ

韓国の代理店取引を定める法律は、契約書の交付と、供給業者の禁止行為、罰則を定めています。一方で、独占や地域、解除の予告期間、準拠法は、今回読んだ条文だけでは確認できませんでした。総代理店との契約は、条文の原文と、韓国の専門家の見解をもとに設計することが大切です。

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